アビームコンサルティングは日本発、アジア発のNo.1グローバルコンサルティングファームを目指し、日本で約4,000 名、アジアを中心とした海外約1,000 名、合計5,000名を超えるコンサルタントと世界各地のアライアンスパートナーの「総合力」でお客様の企業変革実現を支援しています。
今回はグローバルにコンサルティングサービスを展開するアビームコンサルティング株式会社リスク・コンプライアンスユニットダイレクターの安田幸雄様と人事ユニット グローバルHRチームマネージャーの樋口正樹様、同チームの織原由貴子様にお話しいただきました。人が事業の基盤となるコンサルティングファームにおいて、社員を守ることはビジネスそのものを守ることと同義です。そのために展開されている渡航リスク対策や今後の展望などについて詳しくうかがいました。
―コンサルティングファームとして、どのように渡航リスク対策を推進していらっしゃいますか?
グローバルなリスク管理は約15年前から開始し、タイのクーデター、洪水、東日本大震災などを経て、危機管理体制を一層強化しています。案件によって渡航する国・地域も変わったり、業務による渡航のうち出張者の割合が高いのもコンサルティングファームの特徴といえます。全社的には駐在と出張を合わせて800人規模で海外に展開しており、社員の動きも日本から海外への駐在・出張、駐在地から第三国への出張、海外拠点の社員の来日など非常に活発です。実際のビジネスの展開に対応して、世界のどこにいても同じ基準で社員を守るというのがリスク管理体制構築に当たっての基本的な考え方です。
なかでも、重視しているのは初動対応です。2018年11月には海外の全拠点においてグローバル安否確認システムを導入し、運用を開始しました。これにより、既に導入済みの国内の社員に対する安否確認システムに加え、海外有事の際には、危機管理における初動対応で重要な社員の安否確認をグローバルレベルで迅速に行うことができるようになりました。
―弊社のサービスをどのように活用していただいていますか?
日々配信されるEメールアラートは、グローバルHRチームの担当者が該当地域の渡航者への情報提供に活用しています。また、インターナショナルSOSのセミナーで海外での災害情報を得たり、ワークショップ、机上訓練などが日頃の業務の振り返りの機会となったりと、リスク管理者自身の意識向上や情報の更新に効果的と感じています。
―御社におけるリスク管理の課題をあげるとすると何でしょうか?
リスク管理体制の仕組みの構築、新たなツールの導入など、組織としてリスク対応力の強化を図りつつ、その運用と更新は常に課題です。どんな先進的な仕組みやツールも状況や時代の変化に対応し続けることは難しいからです。また、組織内のコミュニケーションもテーマのひとつといえます。コミュニケーションは、平時から機能しているからこそ緊急時に生きてきます。リスク管理業務に対応できる人的リソースは限られていますし、24時間365日世界中をカバーするためには、必要なときに本社・海外拠点のリスク管理担当者が有機的に連携してバックアップできるのが理想です。さらに、現場のリスク対応力の強化という意味で、一人ひとりの社員が緊急時に臨機応変に対応できるように、リスク関連情報の共有化、認識の平準化も継続して推進していくべき課題と捉えています。
―グローバルリスク管理に関して、今後の展望や期待などもうかがえますでしょうか?
リスクに対する考え方やレベル感は個人や国・地域・組織によっても異なる部分があります。海外出張者が全社員の18%を占め、クライアントと共に業務を遂行するグローバルコンサルティングファームだからこそ、どこにいても社員を守れる基準や仕組みづくりを進めていきます。
期待としては、AIの活用やシステムによる自動化などのテクノロジーが、情報の見える化や抽出・分類など属人化しがちな部分の業務を平準化できないかという思いがあります。テクノロジーを活用した経営課題の解決は、コンサルティングファームとしてクライアントに提案していることと重なるものですし、自社のリスク管理を進めていく上でもIT技術の進化は大きく影響する要素であると考えています。
お客様情報
アビームコンサルティング株式会社様
https://www.abeam.com/jp/ja/
取材日:2019年2月